外壁や屋根の塗装見積書でよく目にする「ケレン」(または「ケレン作業」「下地調整」)。
一見地味な作業ですが、実は「塗装の寿命を左右する最も重要な工程」と言っても過言ではありません。
この記事では、初心者の方に向けて「ケレンとは何か」「なぜ必要なのか」を分かりやすく解説します。
1. 「ケレン」とは?

ケレンとは、塗装をする前に「塗る場所の表面をきれいに整え、塗料がくっつきやすい状態にする作業」のことです。
主に鉄部(階段や手すり、トタン、シャッターなど)や木部に対して行われます。
英語の「Clean(クリーン)」がなまったもの、あるいは「削る(削り取る)」という意味の言葉が語源とされています。
錆を落として錆を食い止めたり、塗装表面に細かい傷をつけて塗料の密着をよくさせる効果があります。

2. ケレンが必要な「3つの理由」
なぜわざわざ手間をかけてケレンを行うのでしょうか?理由は大きく分けて3つあります。
① 塗料の「密着性」を高めるため(目荒らし効果)

ツルツルしたガラスに絵の具を塗っても、すぐに剥がれてしまいますよね。金属や木部も同じです。
ケレン作業では、あえて表面に細かな傷をつけてザラザラにします(これを「目荒らし」と呼びます)。
表面積が増え、傷の凹凸に塗料が引っかかることで、塗料がピタッと強力に密着し、剥がれにくくなります。
② サビや古い塗膜(ペンキの残り)を落とすため

サビや、今にも剥がれそうな古いペンキの上から新しい塗料を塗っても、土台ごとペリペリと剥がれてしまいます。
ケレンによって、これらのがんこな汚れやサビを徹底的に削り落とし、健康な下地を露出させます。
③ 仕上がりを美しくするため

表面にサビや古い塗膜の凹凸が残ったまま塗装すると、仕上がりもボコボコになってしまいます。
ケレンで表面を平滑に整えることで、新築のような美しいツヤと滑らかな仕上がりになります。
3. ケレンをサボるとどうなる?(恐ろしいリスク)
もしケレンを十分にやらずに塗装してしまうと、以下のようなトラブルが発生します。
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・数ヶ月〜1、2年で塗装が剥がれる(通常は10年前後持ちます)
・塗装の下でサビが繁殖し、金属が腐って穴が空く
・どれだけ高級な塗料を使っても、全く意味がなくなる
塗装工事のトラブルの多くは、この「ケレン(下地処理)の手抜き」が原因と言われています。
ケレンは塗料を塗ってしまうと見えなくなってしまう作業です。また、塗料が剥がれるなどの症状が出てくるのが数年後ということもあり、手抜きされやすい作業です。
ですので塗装工事をするときは職人としてのプライドがある信用できる会社に依頼することが大事です。
その会社のホームページやYouTubeやSNSなどを見てちゃんとケレンをしているかをチェックすることも大事です。
ちなみに当社はYouTubeでケレンの状況も投稿しています。ぜひご視聴ください。
シャッターのケレン作業
木の外壁 ケレン作業
4. ケレンの種類(4つのグレード)
ケレンは、下地の傷み具合によって4つの段階(種地)に分かれています。
| グレード | 作業内容 | 対象となる状態 |
|---|---|---|
| 1種ケレン | 薬剤やブラスト(砂の吹き付け)を使い、サビを100%完全に除去する。一般住宅ではほぼ行われません(道路の橋など大規模工事用)。 | 非常に激しいサビ |
| 2種ケレン | 電動工具(ディスクグラインダーなど)を使い、頑固なサビや古い塗膜を削り落とす。 | 鉄部全体にサビが広がっている状態 |
| 3種ケレン | 手工具(ワイヤーブラシやサンドペーパー)を使い、活きている塗膜は残しつつ、部分的なサビや汚れを落とす。 ※一般住宅で最も多い |
部分的にサビや剥がれがある状態 |
| 4種ケレン | サンドペーパーなどで表面を軽くこすり、汚れを落として「目荒らし」をする。 | サビはほとんどなく、比較的きれいな状態 |
住宅塗装では2種、3種、4種が一般的となっています。
5. まとめ:見積書をチェックするときのポイント
外壁・屋根塗装の見積書をもらったら、以下の点を確認しましょう。
「ケレン」や「下地調整(素地調整)」の項目が入っているか?
優良な業者は必ずこの工程を見積書に明記します。「塗装一式」の中に含まれていると言われた場合は、具体的にどのようなケレンを行うのか確認しましょう。
極端に安すぎる見積もりには注意
ケレンは非常に手間と時間がかかる手作業です。見積もりが安すぎる場合、ケレン作業を省いて(または手を抜いて)塗料を上塗りされるリスクがあります。
「家を長持ちさせるための命は、塗料の質よりも、塗る前のケレンにある」と言っても過言ではありません。しっかりとしたケレン作業を行ってもらい、大切な住まいを守りましょう。

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